おいしいの感覚と気分のイマがわかるシズルワードの最新版
おいしさを表現する言葉は多彩になっています。そして、言葉が豊かになると同時に感覚も、言葉に促されるように豊かになってきています。
ここ十年余りの間で、わたしたちは、たくさんの言葉を使うことで、たくさんのおいしい感覚をもつようになったのです。
いま、「おいしい」とだけ言っても“おいしい”を表現したことになりません。おいしいをどう感じ、どう表現するのか。おいしさの感覚と言葉に、私たちの関心や楽しみがあるのです。
「おいしいを感じる言葉」、それを“シズルワード”と呼び、シズルワードの現在の姿を知るために、本をつくりました。
この本は、「おいしいを感じる言葉」2018年の調査報告書をベースにした改訂増補版です。
調査をもとにシズルワードのその意味や使い方をわかりやすく紹介しています。グラフを中心に、図を見ながらページをパラパラめくっていくと、“シズルワード”の現在の姿を知ることができるはずです。
この本は、大きく3つの部分で構成しています。
Ⅰ はシズルワードを味覚系、食感系、情報系の3表現に分けて、シズルワードの考え方や3表現の違いを述べています。
Ⅱ は、味覚系、食感系、情報系の3表現ごとに、時系列変化や性別年齢別の特徴などを分析しています。
Ⅲ は、動向とは別に、個々のシズルワードのデータについて解説しています。シズルワードから想起する食べ物や飲み物を集計し、それぞれのシズルワードと結びついている食べ物や飲み物を明らかにしています。とりあげたシズルワードは94ワード、2015年版にくらべて倍増しています。
調査は2003年から行ってきたので、この本では15年間のシズルワードの変化がわかります。
大きな変化をふたつあります。ひとつはオノマトペ化です。感覚をそのまま表す言葉であるオノマトペにおいしさを感じるようになったことです。とくに〈もち〉〈ふわ〉〈とろ〉といった言葉を頭にした食感系の言葉においしさを感じています。
ここ数年では「ふわとろ」という〈ふわ〉系と〈とろ〉系の2つの感覚を複合したシズルワードが順位アップしています。
もうひとつは「濃厚」化です。「濃厚な」が大きく順位アップし、「あっさり」「すっきり」「さっぱり」の順位ダウンが進みました。〈浅薄淡〉から〈濃厚〉へという変化が、10年余りの時間をかけて進んでいます。
そして、ここ数年は「濃厚な」に加わって、「リッチな」「クリーミー」も加わって、順位アップしています。
編著 | BMFTことばラボ |
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発行所 | BMFT出版部 |
発行日 | 2018年12月1日 |
価格 | ¥4,800 |
頁数 | 314頁 |